こうして見ると一つ一つは大したものではありませんが、自分なりに「よく30年続いたな」というのが偽りない実感です。
若い頃は「少しでも細かいところを正確に彫ろう」等という気負いもありましたが、毎年毎年「今度は何にしようか」悩んだ挙句、いわゆる一夜漬けの徹夜をして、腕がツルほど刷り続けながら、「来年はもう止めようか」、「200枚に抑えようか」等と思ったことも度々ありました。
また途中、プリントごっこが流行っていた頃、新たに出し始めた何人かの人から「最近はプリントごっこも綺麗に刷れるんだね」と褒められた?ときは、本当にショックでした。 さらに最近はIT化の進展に伴い、パソコンで各種素材を容易にアレンジ出来るため、カラフルなオリジナル賀状が急増し、老眼の進みと共に版画の作製意欲も減退しつつあります。
それでも今日まで続けられたのは、一部の方から「毎年楽しみにしているよ」などと励ましの言葉を頂いたお蔭と感謝しております。 また、今まで全く我流でやって参りましたが、本には書かれていない些細なノウハウを、毎年の失敗を糧に蓄積できたことも自分にとっては宝と感じております。
今回30年記念誌作成の一担当として、皆様の卒業アルバムの若かりし頃と現在の写真を編集しつつ、自分の版画も丁度卒業と同時に多色刷りにしたのを思い出し、机の引き出しに埋もれていた昔の賀状をかき集め、まとめてみた次第です。また、処々に同期諸兄の名前を勝手に使わせて頂きました。記憶の誤りもあろうかと思いますが、ご容赦の程お願い致します。全く手前味噌のことを長々と書き恐縮ですが、日夜御多忙な諸兄の目の保養にでもなればと掲載させて頂きました。 熊澤 正純